YAKUSHIMA ZINE
記事一覧
#山尾三省の詩を歩く 第14回
三省さんが亡くなる3カ月前に書いた最晩年の詩だ。
前年の11月に末期がんの告知を受けてから、死というものと向き合って来た三省さんの辿り着いたひとつの境地を表していると思うが、理屈で読もうとすると難しくなってしまう。
こういう詩は音楽を聴くように読めばいいのだと私は勝手に思っている。
耳元で5月の風がそよそよとさやさやと吹いている、そのやさしい風の感触を感じることができればいいのだと思う。
#山尾三省の詩を歩く 第13回
平成10年、長野県松本市浅間温泉にある神宮寺に広島の原爆の残り火が分燈されました。「劫火」は当時の住職であった高橋卓志和尚から、その火の傍に置く詩を書いてもらいたいと依頼があり書いたものです。
死を目前にして書いた「三つの遺言(東京神田川の水を飲める水にしてほしい。九条を世界の九条にしてほしい。原発を止めてほしい)」に通じる、三省さんの願いであり、祈りでもあります。
昨年2月に始まったロシア
#やくしまびより 3月
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山下あけみ
種子島出身のひつじ年でうお座。
漁船漁港を描くのが好き。
特に種子島で製造されていた薩摩型木造船には思い入れがある。
埴生窯に嫁に来てから、紹介を兼ねて窯の仕事や屋久島の自然をマンガに描き、不定期だがFBページはにい窯にて連載中。
「やくしまびより」でも島の日々のちょっとした出来事や身近な自然の風景を描いていく予定です。
どうぞご覧ください。
#屋久島野菜徒然日記 3月
気づけば3月もおわり。
この連載もはじめて1年になりました。
拙い文章ですが、日頃向き合っているお野菜たちと会話をするように文章をつくるのは、わたしにとってすごく貴重な時間です。
お付き合いいただきありがとうございます。
さて、そんな1年のお野菜たちを振り返っていたのですが、屋久島のなかでわたしの特に大好きなお野菜をご紹介していない!ということに気づいてびっくり。
それは"山芋"なんです。
#山に十日 海に十日 野に十日 3月
春の縄文人
三月、タブノキの花が咲き始めると、屋久島の照葉樹林は、一斉に新芽を吹き出す。実に地味な花だけど、タブノキの花は、島に春の到来を告げる花である。
「木の芽流し」が降り注ぎ、タブノキをはじめ、クスノキやスダジイの新緑がモコモコと空へと立ち上がる光景を目の当たりにすると、心は遥かなる時空を超え、縄文時代へと飛翔する。
一万年以上も続いた照葉樹林文化。その担い手であった縄文人。凄いなぁ
#山尾三省の詩を歩く 3月
1990年春に書かれた詩。春の海の透明感が希望とともに伝わってくる気持ちの良い詩だ。
三省さんにとって、海はまず第一に日々の食事のおかずをもたらすものであった。海は自分達が貝を採りに行く場所であり、近所の漁師たちが魚やイカなどを獲ってきて持ち帰り配ってくれる所だった。
そしてさらに食べ物だけではなく、本来の希望を与えてくれる場所であり、静かに沈潜する自分に真理という大切なものをもたらしてくれ
#屋久島の鳥たち 3月
春の訪れと旅立ち
3月に入ると野山には可愛い花や新緑が見られ始めます。
小さな虫たちも活動し始めます。
里ではいろんな鳥の声が聞こえるようになってきます。
ウグイスの「ホ~ホケキョ」はさえずりと言い、雌へのアピールになります。
冬の間はこの声が聞こえませんが、居なくなったわけではなく、「ジャッジャッ」と「笹鳴き」と呼ばれる地鳴きで鳴いています。
似たような地味な地鳴きで鳴く鳥が多いの
#屋久島野菜徒然日記 2月
屋久島の2月下旬はすでに春模様。
外ではすももの花が咲き、早咲きの桜も満開です。
この時期の屋久島もまだまだ色々なお野菜が色取ってくれていますが、一際目を引くのがアスパラ菜やロマネスコ、カリフラワーやブロッコリーといった花野菜たち。
もう暖かくなるよ、春が近づいているよ、という合図のように、もこもこと可愛い姿を見せてくれます。
ゆがいてディップをつけて、というのは定番の食べ方ですが、この茹
#島ぐらしとさかなたち 2月
屋久島水揚げ第2位の魚
屋久島での水揚げ第1位の魚といえば、みなさんご存じのトビウオ。
年間を通して10種類前後のトビウオが獲れる。
トビウオと並んで屋久島で有名な魚といえば、観光客にも人気の首折れサバ。
こちらはゴマサバという種類で、1日の出荷制限もあり屋久島での水揚げは第5位となっている。
では、第2位の魚とは?
それは、メダイ。
体に対して目が大きいことから名付けられた白身魚で、屋久島で
#山に十日 海に十日 野に十日 2月
炭を継ぎ薪を燃やして
屋久島の冬は寒い。島の北部で暮らす島人は、特に寒がりである。前岳に雪が積もり、北西の風が吹き荒れ、気温が10度を切ると、「凍え死ぬよね」なんて、たわけたことをのたまうのだから、情けない。
だが、明治10年に建てられた我が家は、本当に寒い。礎石の上にポツンと乗っかっているだけの「キャクロ作り」なので、床下はスッポンポン。冷たい風が、我が物顔で通り抜け、時折畳の隙間から、
#山尾三省の詩を歩く 2月
「夢起こし」は三省さんが屋久島に移住してまもない頃の作品だ。
『びろう葉帽子の下で』の初版は屋久島移住10年の節目に出されたから、少なくとも10年以内の作品である。
屋久島に移住して、これから自らの自己実現の道を歩むという喜びの中で創られている。
畑の土を起こすという慣れない仕事をしながら、自分の夢を起こしていると身震いするような喜びの中にいたに違いない。
その心の震えが伝わってくるようだ。
「そ
#屋久島の鳥たち 2月
「寒波の後には・・・」
十年に一度といわれる寒波が、1月下旬に日本全土に押し寄せました。屋久島でも久しぶりに積雪が見られた集落もあったようです。
寒波が来るとその北風に吹かれてなのか、寒さを逃れるように普段見られない鳥がやって来ることがあります。
その一つがカモメの仲間です。
中でもウミネコがよく見られます。特徴は白い体に灰色の翼、黄色い長いくちばしの先端に黒と赤の差し色が入っていること
#島ぐらしと魚たち 1月
命感じる1本釣り
屋久島に来た頃、島の漁業の中心は、トビウオ漁と一本釣り漁だと聞いた。
私のイメージでは、一本釣りといえばカツオ漁。何人かで船に乗り込み、竿を上下させる激しい漁業なのかと思っていた。
しかし、安房地区の一本釣り漁師は、皆一人で漁船に乗って沖に出る。
「こン釣り機っちゅうんを使うのよ」と指さす方を見てみると、角ばったいかめしいボディに円形の部品がついた「機械」が船べりに装備されてい
#屋久島野菜 徒然日記 1月
新年も気づけば1カ月が過ぎようとしていますね。
後れ馳せながら、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
お正月からの屋久島は、なんだか春のよう~、という暖かさが続いたかと思えば数年ぶりの雪が降ったり、なんだか不思議な気候です。
そんな最近のお楽しみはきのこ。
原木で栽培されているきのこたちは焼いても天ぷらにしてももちろん鍋でも主役になれる美味しさ。
湿気の多い屋久島に合っているのか、栽培してる