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#島暮らしとさかなたち 8月

YAKUSHIMA ZINE

巨大!豪快!オオウナギ

 夏本番になり雨が降らない日が続き、川の水量が減るとオオウナギを獲りに行く。
 体にゴマのような斑紋があることから、我々はゴマウナギと呼んでいる。
屋久島で一番栄養価が高い食べ物だという人もいるほどの夏の滋養食だ。
 義父たちは子ども時代、ゴマウナギをとって捌いて店に持っていくと、良いお小遣い稼ぎになったという。その道60年の大ベテランである。
 この前編ではゴマウナギ釣りについて、後編では我が家に伝わるゴマウナギの食べ方について記そうと思う。

 ゴマウナギを釣るためには、まずは餌となるハゼ釣りから始まる。
その辺に生えている適当な竹を竿にして、ハリスと針を結ぶ。

 餌は冷蔵庫にあったカンパチの皮を小さく切ってチョン掛けした。
 ヒラヒラと動く餌に合わせてハゼが乱舞し、餌を変えることなく永遠にハゼが釣れてしまう。

「黒ハジクロ」と呼ぶ真っ黒の大型ハゼがウナギの一番の好物とのことだが、なんでも食べるゴマウナギなので、ヨシノボリでもゴクラクハゼでもいいし、たまたま釣れてしまったキンタ(フエダイの幼魚)でも良い。
 鶏肉や魚の切り身でも良いが、ウナギが食いつく前に、カニやハゼに食べつくされてしまうことが多く餌もちが悪いそうだ。

 餌が確保できたら仕掛け作り。
 特大のゴマウナギは強烈なパワーの持ち主で、かつ暴れて岩で擦れても切れないように、釣り糸は40号ぐらいのものを用意する。40号というのはマグロ、カンパチなど大物釣り用の糸の太さなのだ。
 だいたい2m弱ぐらいの長さの先に針を結び、反対の端には目印になるような見えやすい糸を結ぶ。

 餌と仕掛けが揃ったら日暮れを待って川に入る。
 ウナギのお食事タイムは夜なので、時間が早すぎるとウナギが出てくる前にカニなどに餌を食い尽くされてしまう。

 上流からの生活排水がなく、ウナギが好みそうな岩の隙間や木の根が張り出している川が良い。
 この日は30丁(ウナギ罠の数え方の単位は、ちょう)仕掛けた。

 明朝の回収を想像して興奮する気持ちを抑え布団に入る。
 まぁ大体は興奮を抑えきれず寝不足で朝を迎えるのだが。

 夜明け。
 早く仕掛けにたどり着きたくて、数回すっ転びながら川上へ向かう。
 水に流されてフワフワと漂っている仕掛けは無視する。ウナギが掛かっている場合は、糸がピンと張っているのだ。
 釣り糸がぐちゃぐちゃに絡まっている。これは一度ウナギが掛かったものの、高速クネクネの技を使って逃げた証拠。

 いくつか仕掛けを回収していくと、、、
 いるいる!見事なオオウナギが掛かっている!

 糸を手繰り寄せたら、くねくねブルンブルン暴れるウナギを制して袋に入れる。
 この時、確実に出入口を閉められるチャックや紐や蓋つきの入れ物でないと、すぐにウナギが飛び出してしまうのでご注意。

 この日は30丁掛けて3匹釣ることができた。
 小さいもので60㎝、大きなもので長さ1m、重さ2㎏超ほど。
ウナギは死んでしまうと急激に身が劣化するので、大急ぎで帰るのだが、
この後は半日ほどかかるゴマウナギの調理が待っている。
 長丁場の台所仕事に気合を入れるため、おじさんたちが「お元気ドリンク」と呼ぶ謎の栄養ドリンクを受け取り一気飲みした。

〈後編に続く〉
…………
川東繭右(かわひがし まゆう)

東京都目黒区出身 
島の魚に魅了され、2011年屋久島に移住
学校司書補として勤務する一方で、魚の面白さや美味しさを普及する活動を行なっている
趣味は魚の耳石集め
好きな魚はクサカリツボダイ ヒトミハタ
お魚マイスターアドバイザー
水産庁魚のかたりべ
鹿児島県指導漁業士


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